ОГУРЕЦ

キュウリ美味しいね。

夢か現か金縛り

突然だが、皆さんは金縛りの経験はあるだろうか。

私は最近でこそ無くなったものの、幼い頃からつい数年前までは何度も金縛りに苦しめられていたのだが、周りに金縛り経験者があまりおらず理解してもらえなかったので、今回はここで私の金縛り体験について書いていこうと思う。

そもそも金縛りとは、簡単に言うと 体は眠っているのに脳は起きていて、意識はあるのに体が全く動かなくなる状態のことである。

心霊現象のように言われることもあるが、これは科学的にきちんと説明できる現象であって幽霊とかそういったオカルトとは無関係である。というか、私は幽霊が大の苦手なので心霊現象であっては困る。

では具体的にどんな風に金縛りになるのかというと、私の場合は まず夢と現の境界線上、もう少し分かりやすく言うと、うとうとして「あっ、もう寝る」という状態になったときに、同時に「このまま寝る方に傾いてしまうと金縛りにあうぞ」と分かるのだ。何故分かるのかと言われても、分かるものは分かるのだとしか言いようがない。

とにかくこの夢現境界での睡魔との戦いがなかなか苦しい。

睡魔軍が数万の武装兵で容赦なく攻めてくるのに対して覚醒軍は僅か数百の竹槍歩兵で頑張っている。授業中に寝まいと耐えているときと同じ感覚と言えば分かりやすいだろうか。

しかし金縛りの場合は授業中に居眠りしてしまうといったお気楽な問題ではない。少しでも気を抜けば全身が動かなくなってしまう危機なのだ。

ちなみにこの戦いの間は、何故かざわざわとした音が聞こえることが多い。無論夢、つまり幻聴で、雷のゴロゴロいうような音のときもあれば人の話し声、笑い声もある。

夢を見ているのだから、この時点で眠っているのではないか、という指摘はごもっともだが、それも少し違う。強いて言うなら「半分寝ている状態」だが、こればっかりは同じ経験をした人にしか分からない感覚だろう。

私にとってこの幻聴は少し、いやかなり怖いものだが、「これは科学現象これは科学現象これは……」と負けじと脳内で必死に唱えている。

そんな格闘も虚しく睡魔の手に引きずられてしまうと、再び苦しい戦いが続く。

指先までピクリとも動かなくなり、助けを呼ぼうと声を出そうにもせいぜい小さく唸ることしかできない。

全身に数十キロの重しを乗せられ、何故かお尻から何かが入ってくるような感覚がする。念のため補足しておくが、あくまでもこの「感覚」は「多分そんな感じがする」くらいのもので、実際にお尻に何かが入ってくる感覚は経験がないので、同じかどうかは分からない。

そして再び頭の中でうるさく鳴る雑音。

声にならない声をあげながら ぎこちなく動く。さながら地中から這い出るゾンビのようだろう。

もし他人が金縛り状態の私を見たら なかなか恐ろしい光景に違いない。幸か不幸か、今のところ金縛りになるのは必ず一人で寝ているときなのだが。

しかし私も大人になり 金縛り歴10年を越えるベテランとなってからは、寝る前のうとうとし始めたときも「金縛れるもんなら縛ってみぃや!」の精神で構えている。

このときもまた、傍目から見れば相当恐ろしい姿をしているだろう。半分寝ているので白目を向いていたりするかもしれない。

例の戦いでなんとか覚醒軍が勝利をおさめ、一瞬でも目が覚めたと感じたら その瞬間を逃さず立ち上がり、歩き回り、キッチンへ行って水を飲むなどして30分~1時間ほど起きておく。完全に目が覚める前にまた寝てしまうと、再びこの戦いに身を投じることになってしまうのだ。金縛りベテランとはいえ、覚醒軍の勝利はあくまでも運が良かっただけ、二度はないのだ。

そうこうしているうちに、いつの間にか金縛りにあうことはなくなっていった。

喉元過ぎればなんとやらというか、いざ金縛りがなくなると「たまには経験してみたいな〜」などと調子に乗る気持ちがないわけではない。いや、そんなことを言って本当に久々に金縛りがきてしまったら以前のように太刀打ちできるとは思えないので、この言葉は撤回しよう。

そんなわけで以上が私の金縛り体験談だが、あくまでも私個人の場合なので、他の金縛り経験者の方と同じかは分からない。自分の場合はこんな感じだというのがあれば ぜひお聞きしたい。

今夜も何事もなく眠りにつけるよう祈りつつ。おやすみなさい。

ネタバレ・クライシス

あなたはネタバレというものを気にするタイプだろうか?
映画、ドラマ、小説、漫画、アニメ……あらゆる創作物を嗜む者にとって このネタバレ問題は切っても切り離せない。
 
私もそういった創作物を好む人間の一人だが、どちらかと言うとネタバレには厳しい方だと思う。自分がネタバレされるのも嫌だし、他人に作品の感想などを伝える際にはかなり気を遣っているつもりだ。そして、SNSで軽率にネタバレをしている他人にも少なからず憤りを覚える。
 
しかし、ネタバレとはどこまでを言うのだろうか。ネタバレにも時効はあるのではないか。
そう考えるきっかけとなったのは、M-1グランプリ2018敗者復活戦での さらば青春の光のネタである。
 
ネタの冒頭で、森田さんが かの有名な『太陽にほえろ!松田優作演じるジーパン刑事の殉職シーン「なんじゃこりゃ〜」のモノマネを披露すると、東ブクロさんが「え、ジーパン刑事死ぬん!?俺 『太陽にほえろ!』見たことなくて今最初から見てるのに!!最悪や、ネタバレされた!!」と騒ぎ立てる。(このネタ含め、Amazon primeで過去のM1をほぼ全て視聴できるので是非見てください)
 
漫才の内容について真剣に考えるのも変な話だが、確かに、主人公の死なんて数あるネタバレの中でも最大級のそれである。しかしジーパン刑事の殉職シーンは今や誰もがーー『太陽にほえろ!を見たことのない人でもーー知っているような結末であり、今更ネタバレだと文句を言う人などいない。解説するほどのことでもないが、だからこそ さらば青春の光 の二人もネタとして使っているのだ。
他にも、『タッチ』の上杉和也の死。私はタッチの原作なりアニメなりを全く見たことはないが「綺麗な顔してるだろ。死んでるんだぜ」の台詞は知っている。
フランダースの犬』の主人公ネロの死だってそうだ。マトモに見たことのない人でも「パトラッシュ、もう疲れたよ」と言い残し天使に抱えられ天に召されるシーンは知っているはずだ。その映像が流れると毎回柴田理恵さんが号泣することも。
 
しかし今の作品はこうはいかない。
例えば最近 私が個人的に受けてしまったネタバレは『鬼滅の刃の主要キャラクターの死である。Twitterで #死んでしまって悲しかったキャラ なるタグをよせば良いのについ踏んでしまってあっさり被爆した。
私はAmazon primeでこの作品のアニメだけは観ていたのだが、アニメ放送分では原作漫画の7巻分(現在は20巻まで発売されている?)にしかならないため、それ以降の内容は全く知らない。Twitterで死ぬと知ったキャラは 特別好きとか思い入れのあるキャラクターではないものの「あ、このキャラ後々死ぬんだ……」と言いようのない気持ちになった。
 
作品の内容的にも 主要キャラクターが死ぬということはうっすらとでも分かっていたはずなのに こんないかにもなタグを検索するなど自殺行為なわけだから、今回は私の自衛不足・自業自得だと思っているし、その投稿をした人を責める気もないが(そもそも大して好きでもない作品だからというのが大きいと思うけど)、しかし私が逆の立場だったら 多分いや絶対やらない。
 
私がネタバレに関して少々厳しいのは、恐らくミステリというジャンルをずっと好んできたからかもしれない。
ミステリ(ここでは探偵ものと仮定する)では、犯人、トリック、動機……と分かりやすい「先に知ってしまうと面白くない」要素が多い。
それらを最初から分かった上でも楽しめる作品も勿論あるが、私はミステリの醍醐味は「自分で推理すること」と「騙される快感」だと思っており、他人にもそれを味わってほしいため、好きな作品は極力ネタバレを避けて紹介している。
 
もっとも、私が好む推理小説や探偵ドラマはSNSでネタバレを踏む・踏まないの問題になることはまあまずない。
理由は色々あるだろうが、一番大きいのは「ファン層が熱心なSNSユーザーと(恐らく)あまり被っていない」という点だろう。
なんだかんだでSNS特にTwitterで声が大きいのは若いオタク(ここでは漫画やアニメ作品の、と定義する)だと思っている。
勿論SNS推理小説や探偵ドラマについて語る人もいるにはいるが、漫画・アニメ好きの人口の比ではないし、ネタバレがうっかり目に入ってしまうほどではないと思う。
 
その点、先の『鬼滅の刃のような現在進行形の若年オタク向け人気コンテンツはなんせファン人口が多いので、ネタバレについての意識が人それぞれ違い、中には気軽に重大なネタバレをする人もいる。
また「キッズ」と言うと蔑称のようだが、実際ファンの年齢層は低めの作品(少年漫画は大体そうだと思うけど)であるため、ネタバレは避けるべきという一種の暗黙のマナーを そもそも知らないファンが多数派を占めている可能性も高い。
 
そう考えると、もし『タッチ』SNSが発達した今現在連載していたら 雑誌の発売日にトレンドに「和也」「綺麗な顔」のようなワードが入り、何事かとうっかり見てしまい「……えっ、和也死ぬん!?」となる可能性もある。
※先ほども書いた通り、『タッチ』の内容は全く知りません。
 
また主要キャラの死といえば(どんな繋ぎだよ)、2010年 私が当時結構ハマったミステリ系(実際そこまでミステリ・推理系ではなかったが、一応そういう売り込みだった)作品で『ダンガンロンパ』というゲームがある。
アニメ化もされ、当時はかなり流行ったので名前くらいは知っている方も多いのではないだろうか。
先に断っておくが、ここから結構なオタク話になるので注意してほしい。
 
この『ダンガンロンパ』(以下『ロンパ』)というゲームの内容についてざっくり説明すると、とある学園に高校生たち数名が監禁され、誰かを殺さないと出られないという状況におかれる。なんやかんやで殺人事件が起こると、主人公=プレーヤーは現場検証や他の生徒への聞き込みを行う。その後しばらくすると学級裁判というものが開かれ、そこで犯行現場の状況や自身のアリバイなどについて他の生徒たちが証言するので、主人公=プレーヤーはその証言の中で自分が見つけた証拠や証言と矛盾するポイントを指摘(論破)し最終的に殺人犯を見つけ出す。そして犯人が罪を認めるとオシオキという名の死刑に処されてしまうのだ。
 
上の説明でお分かりかと思うが、この作品のキツいところは 被害者と犯人どちらもクラスメートで、それなりに愛着を持ったキャラクターであるということだ。当然物語が進めば進むほどそれは強くなる。
私は純粋にミステリ好きとして、推理ゲームというのがやってみたくてこのゲームに興味を持ったのだが、好きなキャラが死んでしまうーーそれも不慮の事故や名誉の戦死ではなく 仲間を殺したり殺されたりしてーーということにかなりのショックを受けた。
 
元々ゲームにほとんど興味のない私にしては珍しく『ロンパ』は誰に勧められたわけでもなく、自分から発売されてすぐに購入してプレイし、熱中し、pixivで二次創作を漁った。
正直、今初めて触れたとして同じようにハマれるかは分からないし、下ネタなど無理な描写もあったが、とにかく当時はハマっていた。
その頃はまだアニメ化もされていなかったので、投稿されている作品数も今と比べれば数えるほどしかなかったように思う。
 
そんなpixivにおける『ロンパ』の投稿作品でほぼ必ずあるのが ネタバレの有無についての注意書きである。
イラストや漫画の前に「○章までのネタバレを含みます」「○章犯人のネタバレ有」などとワンクッション置いて 未プレイの人がうっかり見てしまわないような配慮をしている人が多数を占めていた。
別にこれ自体は今でも他の作品でも 普通に見られる光景ではあるが、『ロンパ』に関して言えば 初期から追っている身としては 時の流れとファン層の拡大に伴い明らかにネタバレに対する意識が変わってきているように思う。
 
『ロンパ』シリーズは、その後ゲーム第2シリーズの発売、そしてアニメ化、スピンオフ、新シリーズ……と一気に人気と知名度が拡大し、初代発売から10年経った今やオタクの半数は通ったんじゃないかと思えるくらいの有名作品にまで成り上がった。
それ自体はもちろん喜ばしいのだが、同時に明らかなネタバレも増えたように思う。
 
例えば、作中でキャラクターが殺されているシーンの画像や、明らかにそれと分かるような描き方をされた黒幕のイラストをSNSでよく目にする。
恐らく、『ロンパ』をプレイした・視聴したことのない人の中にも「あー、このキャラ『ロンパ』の黒幕だよね」などという認識のある人もいることだろう。
 
個人的には これからプレイする人もいるかもしれないんだから、せめて被害者・犯人・黒幕くらいの最重要事項は伏せてほしいと思うのだが、これも『太陽にほえろ!』や『タッチ』と同じなのだろうか。もう時効なのだろうか。
 
……いや、でもやっぱり こと『ロンパ』に関しては一応推理モノという性質上、こういうことは知らずにプレイした方が楽しめるのは確かである。
ダンガンロンパ』に興味を持っている人、持った人は自粛生活の今 是非プレイしてほしいが、その際は絶対にクリア前にキャラ名などで検索はしないでほしい。絶対にその方が楽しめるから!
 
最後に、『太陽にほえろ!』『タッチ』『フランダースの犬そして さらば青春の光 のネタに関して、これから観るつもりだったのに私のこの文章でネタバレしてしまっていたら大変申し訳ありませんでした。
 
ダンガンロンパ1・2 Reload - PSVita

ダンガンロンパ1・2 Reload - PSVita

  • 発売日: 2013/10/10
  • メディア: Video Game
 

 

探偵モノ以外で好きなドラマ紹介

  突然だが、私はこう見えて(?)ミーハーなので 昔からドラマをよく観ている方だ。過去の記事で書いた通り、刑事ドラマ・探偵モノはもちろん好きだが、そうでなくても毎クール何かしら1作品は観ていると思う。

 しかし意外にもドラマの話を友人とするという経験はあまりない。親しくなる人は大抵ドラマよりもアニメやゲームの方が好きで、また海外ドラマ好きという人は周りにもいたが、日本のドラマの話で同年代と盛り上がったことは殆どない。

 今は辛うじて職場のオバチャン達が「昨日このドラマを見た」などと話しているが、いかんせん私がオタク気質のため、私の好きなドラマの話題であっても満足できるほど語ることはできていない。私はオタクあるある川柳「聞いてない 誰もそこまで 聞いてない」を心にとめて気を付けているつもりだ。

 ということで、今回は探偵モノ(毎回殺人事件等が起こり主人公が解決するタイプの作品)以外で好きな作品を幾つか紹介したいと思う。一応初めに書いておくが、相変わらず独断と偏見の塊なのと、あくまでもミーハーな人間の好みなので 世に知られていない名作を紹介できるわけではないのでその点は悪しからず。また順番には特に意味はないです。

 

 

『ナオミとカナコ』(2016年)

 f:id:astrotan:20160316174344j:plain

 バリキャリ外商の小田直美(広末涼子)と専業主婦の服部加奈子内田有紀)は学生時代からの親友。加奈子はエリート銀行員の達郎(佐藤隆太)と結婚し、一見誰もが羨む幸せな生活をしているが、家の中では夫から酷いDVを受けている。離婚を勧めるも報復を恐れて 我慢を続けやつれていく加奈子を見て直美は言う。「いっそ2人で殺そうか。あんたの旦那」

 

 探偵モノ以外と題しながら、サスペンス・ミステリ系の作品ですみません。しかし正直これは雰囲気重たいし絶対見たらイライラする!と思って初めは見るつもりがなかった。たまたま当時帰宅したら放送していたので何回か見るうちに気が付けば自ら録画予約するようになっていた。

 殺人を犯してでも親友を救いたいという熱い友情と大胆な殺人計画が好き。しかしどんなに綿密に思えた計画にも綻びがあり、予定外の出来事に毎回ヒヤヒヤし、加奈子や協力者たちの凡ミスにはイライラしてしまう。執念深い達郎の姉・陽子(吉田羊)との攻防戦には特にハラハラさせられる。放送当時この陽子というヒール役は視聴者から相当嫌われており 私もその内の一人だったのだが、そうまで思わせる吉田羊の怪演は見事で、私はこれで彼女のファンになった。
 計画の鍵となる中国食品の輸入会社を経営する李さん(高畑淳子)、達郎と瓜二つの外見だが性格は正反対の心優しい中国人不法滞在者・林さん(佐藤隆太)との関係も見どころ。

 関係ないけど、確か放送当時 渡辺直美柳原可奈子が「ナオミとカナコ」というコメントと共に2ショットを上げていたのが印象に残っている。

 

 

『僕のヤバイ妻』(2016年)

僕のヤバイ妻 DVD-BOX


 主人公・望月幸平(伊藤英明)は資産家の娘である妻・真理亜(木村佳乃)の財産でカフェを経営しているが、真理亜との夫婦生活に嫌気が差し、愛人の北里杏南(相武紗季)と共に真理亜の殺害を企てる。真理亜に盛るための毒物を用意して帰宅すると、彼女は何者かに誘拐されていて――

 人気作品なので見ていた人・知っている人も多いと思う。誘拐事件をきっかけに明らかになっていく貞淑な妻・真理亜の恐ろしいウラの顔と、巨額の財産に群がる人々の秘密が暴かれていくのが面白い。

 私は『相棒』の片山雛子をはじめ、木村佳乃が演じる「頭が良くて裏で支配するタイプの悪女」が大好きなのだが、この作品の真理亜もまさにそういう”ヤバイ”キャラクターで、張り巡らされた彼女の罠には毎回惚れ惚れしてしまう。

 真理亜だけでなく、誘拐事件を追う刑事・相馬(佐藤隆太)(また佐藤隆太!)、金に汚い幸平の義兄・横路(宮迫博之)、ご近所のラブラブ年の差夫婦・鯨井有希(キムラ緑子)&和樹(高橋一生)、謎のバーのマスター木暮(佐々木蔵之介)……と、怪しいキャラクターが盛りだくさん。余談だがこれで高橋一生にハマった人急増したんじゃないかと思う。今ではもう見られない宮迫の小者感溢れる(褒めてる)演技も好き。内容の割に大衆向け作品なので気軽に見られると思う。いわゆる「どんでん返しのラスト」が好きな人にオススメ。

 

  

『火の粉』(2016年)

「火の粉 ドラマ」の画像検索結果

 梶村雪見(優香)は夫と5歳の娘、夫の両親・祖母の6人で都内の閑静な住宅地で暮らしている。ある日隣に武内(ユースケ・サンタマリア)という男性が引っ越してくる。
 彼はかつて殺人事件の容疑者とされ死刑を求刑されていたが、当時裁判官だった義父・勲(伊武雅刀)による判決で逆転無罪を勝ち取ったという過去を持つ。そのため武内は勲に大変な恩義を感じており、介護の手伝いをしたり料理を振舞ったりと勲のみならず梶村家の人々のために親切をはたらく。梶村家の人々が武内を「良い人」と褒めたたえる一方で、雪見だけは彼の行き過ぎた優しさに不気味さを覚えるように。
 そんなとき記者を名乗る男(佐藤隆太)が現れ「武内は実は殺人犯だ」と雪見に告げ――

 

 またまた佐藤隆太!!はさておき、ユースケ・サンタマリア(が演じる役)は 私の中で「基本的には良い人なんだけど、なんか空気が読めなくて、でも悪気はないから憎めない・憎んではいけない人」というイメージなのだが、それを突き詰めたらこういうサイコパス的な人物になるのではないかと思っている。原作は未読だが、ユースケ・サンタマリアは適役だと思う。

 また余談も余談だが、私と妹(放送当時一緒にこのドラマを見ていた)は、雪見の夫役・大倉孝二に「妻が自分の母親と揉めていたらめんどくさそうに『母さんのことも考えてやってくれよ~』とか言いそう」「モラ夫っぽい」というド偏見があるのだが、たぶんこのイメージがついた一番の原因はこの役。

 徐々に武内に支配されていく家庭と、にもかかわらず武内を警戒する雪見が家族から悪者扱いされていく様がもう辛くて見ていられない(最後まで見ました)。武内という狂気を孕んだ人間とそれに狂わされる人々。あなたの隣人ももしかしたら……?そんなジワジワくる恐怖を楽しみたい方にオススメ。

 

  

『マネーの天使~あなたのお金、取り戻します!~』(2016年)

f:id:ohtinpriyatno:20200315213842p:plain

 失業中の竹内茂(小藪千豊)は真面目でお人好しだが、その性格故に損ばかりしている。以前勤めていた工場の社長に未払いの給料を支払うよう頼むも突っぱねられ、弁護士に相談するも 少額の案件は取り合ってもらえない。
 困り果てたところ、突然見知らぬ女子高生に声をかけられ強引に近くのメキシコ料理店「アンヘラ」に連れていかれる。店に入ると店長の栗原理佐(片瀬那奈)が出迎え、無料で金銭トラブルの相談に乗ってくれると言う。それを聞いて喜ぶ茂だが、よくよく聞けば理佐は無資格・現在勉強中のただの素人で――

 

 コメディ系のちょっとタメになるドラマ。基本的にはオムニバス形式で、毎回様々な金銭トラブルを抱える依頼人がやってくる。内容は友人間のお金の貸し借り、婚活サイトで知り合った人に貢がされた、高額エステに騙された……などなど実際に自分も被害に遭うかもしれない身近なものばかり。
 私は法律には詳しくないのでどこまで正しいのかは分からないけれど(さすがに実際の法律ではアリエナイなんてことはないだろう)、きちんと法律を使って比較的平和に解決するのでドラマとしても安心して見られる。個人的に第4話のセレブママ友会の話のオチが好き。

 主演の小藪は、普段バラエティ番組などで観ていると 大柄でひねくれ者で、どちらかというとちょっと怖そうな印象だけど、お人好しで気の小さい茂役もよく似合っていた。またこの頃はまだあまり知名度が高くなかった葵わかな演じるクールで法律に詳しい菅原円をはじめ、バイトの女子高生たちがとてもいい味を出していると思っている。

 雰囲気的には『新・ミナミの帝王』を更にライトにしたイメージ。ちなみにこの千原ジュニアver.萬田銀次郎も賛否両論あるが私は好きなので観てほしい。

 

  

『家売るオンナ』(2016年)・『家売るオンナの逆襲』(2019年)

「家売るオンナ」の画像検索結果


 テーコー不動産新宿営業所に 夢のように美しく鬼のように恐ろしい女がやってきた。彼女こそ、営業成績トップを走り続ける敏腕不動産屋・三軒家万智(北川景子)。あだ名はサンチー(”三軒家チーフ”の略)。口癖は「私に売れない家はない!」の自信家で、自分にも目上にも目下にも超絶ストイック、目をかっぴらき、壊れるんじゃないかという勢いでキーボードを叩き、見事な洞察力と奇抜なアイディアで一癖も二癖もある物件や売主・買主を捌いていく……!

 

 昨年第2シーズンが放送され、何度かSPドラマも放送されている人気作品。北川景子のことは昔から結構好きだったのだけれど、彼女が出演する映画やドラマは観たことも観ようと思ったこともなかったし、観てもあまり印象に残らなかったのだが(彼女の演技が悪いとかではなく、単に彼女が出演する作品は大体私が興味のないジャンルだったため)、この作品でのギャグ演技・演出が思っていた以上に良くてハマってしまった。美しくデキる女 三軒家万智に憧れて不動産業界もいいかも!なんて思う就活生が増えたとか増えなかったとか。

 彼女に振り回される新宿営業所の人々も魅力的。「サンチーの犬」もとい「三軒家チルドレン」の若手営業マン庭野聖司(工藤阿須加)、アイドル並みのルックスを武器に営業成績トップを誇るも万智に抜かされ彼女をライバル視する足立聡(千葉雄大)、万智の営業成績を認めつつもコンプライアンスや組織としてのまとまりが失われつつあることに悩む課長・屋代大(仲村トオル)、不真面目でサボってばかり、足立と結婚することしか考えておらず、厳しい万智を毛嫌いしている営業成績万年最下位の白洲美加(イモトアヤコ)……などなど。万智との出会いをきっかけに変わっていく彼らにも目が離せない。

 
内容はオムニバス形式で、引きこもり息子の存在を隠して住み替えを依頼する老夫婦(1期 第2話)や ミニマリスト彼氏VS汚部屋彼女(1期 第3話)、孤独死を恐れる老女とネットカフェ難民(2期 第2話)、お互い承知の上で不倫を楽しむ美容師夫婦(2期 第6話)、時短勤務ママVS子無し既婚キャリアウーマン(2期 第7話)など、実際の社会問題や多様性をテーマにした話が多い(2期は特に)。

 実は(?)私の実家は不動産屋なのだが、父曰く「ギャグドラマだけど意外とリアル」とのこと。ここまで極端ではないし、ドラマのように円満解決するとは限らないけれど、家という誰もが密接に関わるものを題材にしている以上、自分のことのように考えさせられる良ドラマ。

 

  

重版出来!』(2016年)

 「重版出来」の画像検索結果

 幼い頃から柔道一筋、オリンピック強化選手にまで選ばれた主人公・黒沢心(黒木華)は、怪我が原因で選手生命を絶たれ一般企業に就職することに。柔道漫画に魅了されたことがきっかけで柔道に打ち込むようになった経験から 大手出版社・興都館の就職試験を受け 見事週刊コミック誌「バイブス」編集部に配属されるが――

 

 こちらもいわゆる職業モノ。漫画編集者が主人公のドラマって今まであんまりなかったような気がする。(私が見た作品では『ヒミツの花園』という釈由美子主演のドラマも一応そうだが、これは仕事と言うより恋愛がメインなのでノーカン。ちなみにこのドラマはただただ温厚な堺雅人が良い)

 こうした職業モノでは(自分が社会人になって余計に)精神論だけで押し通そうとする主人公や、なおかつそれが受け入れられる展開には「それで上手くいったら苦労しないよ」などと思ってしまい楽しめないことも多いのだが、黒木華が演じる黒沢心はスポ根漫画の主人公のような嫌味のない性格で素直に応援したくなる。また登場人物に「完全な悪役」がいないのもよりリアルさを増していると思う。
 原作は未読だが、年配役は勿論、若い役にもルックスや知名度・話題性ではなく演技力やその役のイメージに合った役者をキャスティングしている印象を受けた。(売れっ子漫画家・高畑の恋人役だけはもっと適した人いたのでは……と思うけど。ファンの方すみません)

 子供の頃一瞬だけど漫画家になりたいと思っていたこともあるし、大人になってからはこういう編集者の仕事にも興味はあったが、リアル寄りとはいえ比較的良いところだけを描写しているであろうドラマを見るだけでも私には向いていないなと思う。どんな作品も漫画家と編集者そして営業担当の多大なる苦労が積み重なって世に出ているんだなと改めて実感する。そりゃヒット=重版出来すれば嬉しいよね。ちなみに作中作の漫画も実際にプロの漫画家が作画を担当しており、普通に面白そう。

 Amazon primeのコメントでは「素晴らしい作品なのに低視聴率だった」との意見が多いが、放送当時確か裏が上記の『僕のヤバイ妻』で、そちらに人気を取られていたような気がする。かく言う私もそちらを観ていたが、放送当時ゼミの教授がこのドラマを褒めていたことを思い出し、一気観してしまった。漫画好きにはぜひ観てほしい作品。

 

------ 

 

 こう書いてみて分かるのは 本当に偶然だが2016年の作品ばかりで、私にとって2016年はかなりの豊作だったということと、佐藤隆太は思いの外色んな作品に出ているということ。そして探偵モノ以外と言いながら半分はやっぱりミステリ系になってしまう……すみません笑

 今回はこれくらいだが、今ぱっと思い出せないだけで「これ入れるの忘れてた!」という作品が他にも絶対あるはずなので その時は順次追加していく。またこの作品も面白いよという情報があればぜひ教えてください。

 

↓私の好きな探偵モノドラマはこちら

nacl-p.hateblo.jp 

nacl-p.hateblo.jp

 

ちっちゃいことを気にしてしまう、私の悪い癖

「ちっちゃいことは気にするな それワカチコ!ワカチコ!」というフレーズをご存知だろうか。

私たちの世代で『爆笑レッドカーペット』を観ていた人なら一度は耳にしたことがあるであろう、ゆってぃのネタである。

ゆってぃは現在はいわゆる「一発屋芸人」枠でバラエティ番組に度々出演し(正直一発屋と呼べるほど一発当てられていたか?とは思う(失礼))、比較的最近ではこのようなツイートで話題になったピン芸人である。

 

 

 そんな彼が、半年ほど前 私の地元で開催されるお笑いライブに出演すると知り、私はすぐさまチケットを購入して妹とライブを観に行った。ライブには東京03やロッチ、ニッチェ、平野ノラなどの人気芸人らも出演しており、彼ら実力派・知名度の高い芸人のネタはもちろん あまり知らなかった若手芸人のネタも全部面白くて最高のお笑いライブだったのだが、中でも私と妹が一番笑ったのがゆってぃである。

 ゆってぃが登場しただけで私たちは呼吸困難になるくらいゲラゲラ笑い、「ゆってぃー!!」と叫び、最終的に二人して笑いすぎて泣いた。妹の隣に座っていたカップルが「いや、そこまでか……?」という顔をしていたのも覚えている。しかし、私たちが ゆってぃでここまで爆笑するのにはそれなりの理由がある。ゆってぃには大変申し訳ないが、別に彼のネタ自体が世間一般的に見て泣くほど面白かったわけではない。

 話は変わるが、記憶している限りでは私が中学生の頃から、家族で大体月1~少なくとも2か月に1回ほどのペースで通っている焼肉屋がある。そこの店員がゆってぃに似ているのだ。今回はこのゆってぃ店員についての話をしたい。

 この店員をゆってぃと呼び始めたのは、私たちがまだこの焼肉屋に通いはじめたばかりの頃だったと思う。たまたま接客をしてくれた店員の顔を見て「あの店員さん ゆってぃに似てない?」と妹に言ってみたら、妹も「そっくりや!」と二人で笑い転げた。今から思えばそこまでそっくりというわけでもないのだが、当時『レッドカーペット』が流行っていたこともあり ゆってぃの印象はかなり強かったため、少し似ていただけでもそっくりだと思えたのだ。母は「言うほど似てへんやろ」と言っていたが、あまりにも私たちが ゆってぃゆってぃと言うものだから、そのまま我が家で彼は「ゆってぃ」と呼ばれることになってしまった。芸人の ゆってぃにはこれまた大変失礼だが、正直似ていると言われても嬉しくはないだろう。

 いくら常連とはいえ、飲食店の一店員を あだ名を付けてまで家族で話題にすることなどあるだろうか?とお思いかもしれない。ここからようやく本題に入るのだが、私たち家族は正直この ゆってぃ(店員)のことが好きではない。(これから書く「ゆってぃ」は全てこの店員を指すものであって、芸人のゆってぃのことは「ゆってぃ(本物)」と書くことにする。)

 ゆってぃは先述した通り、私たち家族が長年にわたって利用している焼肉屋の店員で、おそらく店長に次ぐナンバー2的ポジションだと思っている。そんな彼の何が嫌なのかというと、簡単に言えば「私たちを認知していること」である。いや、認知していること自体は構わない。10年も通っていれば顔や名前などを覚えられて当然だ。正確に言えば「こちらを認知していることをアピールするような態度」が嫌なのだ。

 例えば注文の際に食い気味で「〇人前ですよね」などと言ったり、毎回ライスを取り分けるためにお茶碗を用意してもらうのだが、それを伝えていなかったときにも「お茶碗は4つでしたよね」と勝手に持ってきたり。良かれと思ってやっているのだとは思うが、正直恥ずかしいからやめてほしい。こういうことが毎回続き、私たちは次第に ゆってぃに対してストレスを感じていった。焼肉屋に行こうという日は「今日ゆってぃおらんかったらええのになー」「ほんまそれ」「でも絶対おるやろなー、はぁ」という会話を必ずするようになった。

 極めつけは、ある日父と私の2人だけで焼肉を食べに行ったときのことである。私が高校を卒業するまでは、両親と私たちきょうだい3人の計5人で行っていたのが、私そして妹が大学生になり実家を離れるなどし、4人、3人で行くことは何度かあったが、どの組み合わせであれ2人というのは初めてのことだった。

 その日もいつものように「ゆってぃは居ないでくれ!」と願う私の期待を裏切り、やはりゆってぃは元気に働いていた。そこまではまだ良い。問題は次だ。注文を受けに来た ゆってぃは、私と父の二人組を見て言い放った。

「このパターン初めてですね笑」

 もう恥ずかしくて耐えられなかった。その場は「ええ、はい、まあ」とテキトーに返事をしたが、やっぱり私たちの家族構成をきちんと把握され、常連だと認識されていることに猛烈な恥ずかしさを感じた。上手く言えないが、私たちは ゆってぃの本名すら知らないのに(別に知りたくもないが)向こうはこっちのことを色々と知っているという状況もなんだか嫌だ。さっきも書いた通り、認知していること自体は構わないし仕方がない。でもそれを表に出さないでほしい。すぐにそのことを母と妹にLINEで連絡すると、ムーン(LINEの白い人間?のキャラクター)が指をさして笑うスタンプが送られてきた。笑いごとではない。

 そこまで ゆってぃが嫌なら別の焼肉屋に行けば良いと思うだろう。しかし憎いことに、実家の周辺ではこのゆってぃの焼肉屋が一番美味しいのだ。もしかしたら常連サービスということで良いお肉を出してくれているのかもしれない。そう思うと、ゆってぃのこともあまり責められない。

 ここまで、私たち家族全員がゆってぃの接客に否定的なような書き方をしていたが、正確に言うと、父だけはゆってぃを高く評価している。父が言うには「ゆってぃは常連客の情報をきちんと覚えてサービスをしてくれる。店員の鑑」だそうだ。まあ確かに、父の言うことにも一理ある。私だって、これがお客は基本的に常連ばかりのような地元民に愛される個人経営の小さな店や、行くだけでステータスになるような一見さんお断りの高級料亭などであればオーナーなり店員に認知され、コミュニケーションをとれることを喜ばしく思うだろう。行きつけのバーで「マスター、いつものお願い」なんて言うのにも憧れている(残念ながら私はお酒がダメなのでこの夢は叶いそうにもないのだが)。

 しかし この焼肉屋はと言えば、安くはないが大きな道路沿いにある大衆向けフランチャイズ店である。位置づけとしてはファミレスと同じようなものだ。そういう店で自分を常連(と言うより「よく来る奴ら」くらいの言い方のほうが良いかもしれない)として認知し、プライベートに片足を突っ込んでくるゆってぃのような店員を好ましく思う人は少数派ではないだろうか。実際に世間一般的にどうなのかデータをとったわけでもないが、少なくとも私たち家族の中では ゆってぃ否定派が80%を占めているわけだ。

 とはいえ、いざ ゆってぃが この焼肉屋からいなくなったら少し淋しいのではないのかとここまで書いていて思い始めた。いくら味や値段が良くても店員があまりにも不快であれば同じ店に10年以上も通わない。あるいはそこまででなくても 、いつも一番に焼肉を提案する父も ゆってぃ否定派ならば次第にこの焼肉屋に通う頻度も落ちていただろう。それに彼の存在が我々家族の団欒に一役買っていると言えなくもない。現にゆってぃ(本物)でここまで笑えるのは焼肉屋のゆってぃのおかげに違いない。

 そう考えるとゆってぃのことも好意的に――とはやっぱりならない、うん。ごめんゆってぃ。あなたの気持ちはありがたいけど、やっぱり心の中だけにとどめておいてほしい。私もゆってぃ(本物)のようにチッチャイことを気にしてはいけないのだろうが。ワカチコワカチコ。

西から逃げられない

東西南北の中でも、私はどうも「西」に縁があるようだ。

生まれも育ちも関西というのはもちろんのこと、小学校は○○西小、中学は特に方角を示す言葉はなかったが、高校も××西高、大学と当時の下宿先のマンションも西区にあり、部屋も西向き、そして今年入社した会社名にも西が入り、会社のオフィスが入っているのもビルの西館、さらに最近会社の近くのマンションに引っ越したのだが、なんの因果かここも西町で、やはり西向きの部屋である。

別に西にこだわって学校や家を決めてきたわけではない。まったくの偶然だ。特に部屋の向きに関して言えば、大学時代の部屋が西日で夕方やたら暑かったので、今度は向きも気にしようと思っていたにもかかわらず、方角のことなどすっかり忘れて他の気に入った条件をもとに物件を選んだ結果、西向きになっていた。

こう書いていくとなんだか自分でも少しぞっとするのだが、改めて考えたことがないだけで、案外みんなこんなものかもしれない。ぜひ考えてみてほしい。

しかし、自分に都合の良い部分だけ抜き出しているだけではないかという指摘もあるだろう。実際、これだけ西・西・西!な私だが、学生時代に留学していたロシアのハバロフスクという町はロシアの極「東」に位置する。あれだけ大きな国のほぼ東端と言ってよい。まさに東の極みだ。とはいえ、留学先の大学名そのものや住所に「東」を意味する言葉は入っていなかったので、これはセーフなのではないか。

なんにせよ、今後私の人生において まだまだ西が関わってくるのか、それとも東の逆襲が始まるのか、はたまた北や南が登場するのか、なんだか楽しみだ。

私の愛する探偵2

 

TRICK

f:id:ohtinpriyatno:20200117110109j:plain

言わずと知れた名作。前回は探偵ドラマと言えるかな……?と思って入れなかったのだが、私の好きなドラマベスト5には確実に入る大好きな作品なので今さらながら紹介。

 
ボロアパートに住む売れないマジシャン山田奈緒子(仲間由紀恵)が ひょんなことから物理学者であり大学教授の上田次郎(阿部寛)と出会い、二人で自称霊能力者のインチキを全部まるっとお見通しして成敗するお話。
 
バカだが有名マジシャンだった父から教わったマジックの腕を持ち、何より強欲で負けず嫌いでインチキ霊能力者に挑む山田と、インテリながら頭が固く、すぐにインチキに騙される上田の夫婦漫才のようなコンビが最高に愛しい。
 
また主人公の二人の他にも、道教室の先生にして山田以上に強欲で商売上手な山田の母・里見(野際陽子)や、頭に重大な秘密を持つ警視庁の警部補・矢部謙三(生瀬勝久)、山田が住むボロアパートの大家・ハルさん(大島蓉子)など、クセの強い魅力的なキャラクターがたくさん登場する。
 
コントのようなセリフに、パロディやメタ発言、雑な合成・CGなど あからさまなギャグが強めだが、一方で横溝正史金田一耕介シリーズを思わせる(というかこれもパロディとして用いてるけど)不気味な雰囲気や、単なる勧善懲悪モノではない後味の悪い展開には引き込まれる。
 
さらに 音楽も、OPテーマは勿論 その他のBGMも絶妙な不穏感があって良い。
どうでもいいが、TRICK放送当時、私の母は私からの電話の着信音を 山田がインチキマジックをする時のBGMにしていた。何故。
また効果音についても、これは関ジャニ∞の音楽バラエティ番組『関ジャム 完全燃SHOW』(この番組めっちゃオススメです)で言われていたことなのだが、元々BGMだった曲の一部の音を使って効果音にするという珍しい手法も取られているそうだ。
 
ドラマシリーズは3シーズンあり、それに加えて2時間のドラマスペシャル、劇場版も幾つかある。
2014年に公開された『劇場版TRICKラストステージ』で、シリーズは完結した。このラストが私は本当に好きだ。詳しいことは言えないが、またドラマシリーズの第1話から観たいと思えるラストなので、ぜひこのラストステージまで観てほしい。
 
因みに、矢部謙三が主人公の『警部補 矢部謙三』というスピンオフドラマもある。『TRICKの不気味さを排除して100%ギャグに振り切ったオムニバス形式のドラマなので、気楽に楽しめる。
 
TRICK』(ドラマ、ドラマスペシャル、劇場版)『警部補 矢部謙三』ともにAmazon primeで観られるので、アマプラ会員はぜひ見てほしい。
 
 
  
ãå¯è±ªåäºãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ
新人刑事の神戸美和子(深田恭子)は大富豪のお嬢様。有り余る家のお金を使った普通ならアリエナイ方法で難事件を解決するギャグ刑事ドラマ。
口癖は「たった5億円ぽっちのために人を殺してしまうなんて……」。
 
見所は、いくらなんでもありえない神戸家の富豪設定・エピソードと、それにもかかわらず美和子の大金持ちである自覚のないような 世間知らずな言動。その度に苛立ち鉛筆をへし折ったり地団駄を踏んだりする同僚の刑事たちの姿も面白い。
また毎回「それで出勤するの!?」と思うような豪華絢爛な美和子の衣装にも注目。
個人的な意見だが、この深キョンは本当にはまり役だと思う。
 
富豪刑事』と2シーズンの『富豪刑事デラックス』があるが、両方とも現在アマプラで公開中。

 
 
 
ã7人ã®å¥³å¼è­·å£«ãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ 
 「女性の駆け込み寺」として設立された「7人の女弁護士事務所」。
未熟ながらもいつでも全力投球・熱血主人公の藤堂真紀(釈由美子)、 冷静沈着ながら誰よりも正義感と責任感の強い所長の杉本美佐子(野際陽子)ら 美しく個性豊かな7人の女弁護士たちによる法廷ミステリ。

内容はファミリー向けのシンプルで見やすいものだが、「女の味方」をテーマにしており、ストーカー被害やセクハラ被害など誰もが身近な問題が扱われることも多い。シーズン1の放送は2006年と 古い作品だが、今観てもあまり古臭さを感じない。

シリーズは2シーズンあり、キャストは一部を除き入れ替えられているが、女弁護士たちは皆それぞれキャラが立っており、7人の掛け合いも楽しい。
そしてラストは毎回違うスイーツを食べるシーンで終わるのだが、これがまた美味しそう。

全体的にとっつきやすいので、あまりミステリ・サスペンスに興味のない人でもサクッと観られると思う。シーズン1、2ともにアマプラで公開中。
 
 
今回はAmazon Prime に最近追加されたということで、昔から好きだったこの3作品を紹介した。
前回同様、まだまだ紹介し足りない私の愛する探偵たちがたくさんいるので、順次追加していきたい。

↓前回記事はこちら

nacl-p.hateblo.jp

びじゅチューン!お気に入りソングベスト10

2017年の元日にこのブログを初めて、もう2年も経つということに驚いている。
今年の正月は、ダメダメ学生の私は卒論の執筆に必死で正月を楽しむ余裕などまるでなかったのだが、そんな中で素敵な番組をひとつ見つけた。

元日の深夜、なんとなくテレビをつけっぱなしにしたままパソコンの画面と向き合っていると、何やら楽しげな番組が始まった。それが、『びじゅチューン!』のお正月一挙放送スペシャルだった。
びじゅチューン!』は世界の「びじゅつ」を難しい説明なしに、井上涼さんが手掛ける ヘタウマな歌とゆるいアニメで紹介する5分程度の番組で、普段は水曜の19:50から放送しているそうだ。

最初に「見つけた」と書いたが、ちょうど2年前の正月に友人がこの番組を紹介していたので 一応存在は知っていたのだが、放送時間が合わずに忘れてしまっていた。
それが今回、たまたまだがこの一挙放送を観たことで「こんなに面白かったんだ!」とハマってしまった。
びじゅチューン!』の歌やアニメーションは、親しみやすく分かりやすく、そして面白く、美術に興味がないような人でも楽しめるような工夫がたくさん。私は自分で言うのもなんだが、昔から美術にはそれなりに興味知識がある方だが、そうした人も井上涼さんのあっと驚くような発想や解釈、知識があるからこそ分かる細かいネタなど楽しめる部分が盛りだくさんだ。

そんなわけで、3日連続で一挙放送を観て、全部ではないかもしれないが 殆どの作品を観た中で特に気に入ったベスト10を紹介したいと思う。本当は動画を埋め込みたかったのだが、そうしたところで ここでは再生できないようなので、リンクを張りました。

 

 

10.『ザパーン ドプーンLOVE』

元ネタは、有名な葛飾北斎の『富岳三十六景 神奈川沖浪裏』



高く上がる波が富士山にラブコールを送っているなんていう可愛い発想が素敵。
びじゅチューン!の曲はメロディーがちょっと難しい感じのものが多いけど、この曲はシンプルかつ明るくて楽しい。
そしてびじゅチューン!では画面右下の歌詞表示も工夫があり、そこも注目ポイントなのだが、この曲は特に版画を大急ぎで刷って出す人が面白くて好き。
どうでもいいが、過去の記事で書いた、私が中学生の頃 塾でもらった名画ノートの絵柄のひとつがこの絵。

 

 

9.『武蔵の遅刻理由』

元ネタは、歌川国芳の『宮本武蔵の鯨退治』(1851年頃)



無理矢理な言い訳を紙芝居まで用意して熱弁する武蔵と、完全に嘘だと知りつつも一応最後まで聞く小次郎。二人の駆け引き(でもないか)が楽しい作品。
最後の二人のダンス(?)にも注目。こぶしのきいた「俺は武蔵!」もお気に入り。

 

 

8.『火消しが来りて笛を吹く』

元ネタは、ご存知 エドゥワール・マネの『笛を吹く少年』(1866年)


この絵は小さい頃に見て以来なんだか怖いイメージがあり、この曲のタイトルも『悪魔が来りて笛を吹く』を思わせるものなので、ホラー・ダーク寄りの曲かと思いきや、愛する我が町を守るため、少しの火でも過剰に警戒して警笛を吹く少年のお話でなんだか可愛いなと感じた。町の人々がマネの他の作品(画像順に、『フォリー・ベルジェールのバー』(1882年)、『バルコニー』(1868年)、『ラテュイユ親父の店にて』(1879年))の人々で、マネ商店街の店名もマネの作品タイトルから取ったものなのも気に入った。特に『フォリー・ベルジェールのバー』は好きな作品なので、登場してくれて嬉しい。

Edouard Manet 004.jpg ãã«ã³ãã¼ ã©ãã¥ã¤ã¦è¦ªç¶ã®åºã«ã¦

 

 

7.『鳥獣戯画ジム』

元ネタは、『鳥獣人物戯画』(12世紀~13世紀)


この絵からよくもまあこんな発想が……でも確かに、あれだけ運動したら痩せそう。
私も巻物に入って動物になって運動して肉体美を手に入れたい!そんな気分にさせてくれるウキウキワクワクするような作品。

 

 

6.『アイネクライネ唐獅子ムジーク』

元ネタは、狩野永徳の『唐獅子図屏風』(16世紀後半)

åçå­å³å±é¢¨

唐獅子図屏風とモーツァルトに何の関係が!?と思ったけど、唐獅子の髪型に注目したんですね。
私はクラシック音楽家の中でもモーツァルトは一二を争うくらい好きで(ちなみに同じくらい好きなのはチャイコフスキー)、特に『アイネクライネナハトムジーク』は高校の文化祭で演奏した曲なので少し思い入れがある。
その思い入れを抜きにしても、有名クラシックが可愛くアレンジされていて、聴いていて楽しい。唐獅子音符の楽譜の部分で、ソに♭がついていたのが、最後の3回目ではちょっとメロディが変わってソも♮になっていて、解散の危機を乗り越えて作品が完成して丸くおさまったことを表しているのかなーなんて。
モーツァルトが持っている歌詞カードの上でちょこちょこ永徳が指示を出しているのも可愛い。

 

 

5.『1500年のオーディション』

元ネタは、アルブレヒト・デューラーの『1500年の自画像』(1500年)

1500å¹´ã®èªç»å
自身をキリストに似せて描いたことで有名なこの自画像。確かに、他の画家のものと違って、こちらに何かを訴えかけるような意志のある自画像だ。私はキリストとジャック・スパロウを足して2で割ったような顔だなと思っていた。そういえば『聖☆おにいさん』のイエスも自称ジョニデ似だったね。関係ないけど『聖☆おにいさん』も大好きな漫画です。
話がズレたけど、この『1500年のオーディション』はサビのダンス(?)が好き。実は家で一人でマネした。

 

 

4.『お局のモナ・リザさん』

元ネタは、ご存知 レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』(1503-1519年)

f:id:ohtinpriyatno:20190113180907p:plain

あの笑っているのになんか怖い感じを会社のお局さんに喩える発想がナイス。
でも、若手社員のネイルやスカートにだけ嫌味を言うのではなく、課長や社長など目上の人にもガツンと言ってて、後ろで若手女子社員がガッツポーズしてるのが良い。
謎に包まれた事実上の主、モナ・リザさん……カッコいい。

 

 

3.『何にでも牛乳を注ぐ女』

元ネタは、ご存知 ヨハネス・フェルメールの『牛乳を注ぐ女』(1657-1658年)


ネットで話題になっていたので、知っている人も多いかもしれない。何故か歌ってしまう奇妙なメロディーに、牛乳を注ぐ女VSベテラン調理師の戦いが見物。でも実際何にでも牛乳をかけたら不味いらしい。でしょうね笑
公式動画にはないが、コーラス入りver.の出だしの「ヨ~ハ~ネ~ス!フェルメール!」というコーラスが私はお気に入り。

 

 

2.『その天女、柄マニアにつき』

元ネタは、『吉祥天像』

f:id:ohtinpriyatno:20190113181921p:plain

言われるまで気付かなかったけど、ホンマや、めっちゃ柄やん!
これは音楽だけなら1位にしていたってくらい、メロディーが好き。気分が上がる。
掲示板にムンクの叫びラーメンのチラシが貼ってあったり、「吉祥天女をどう制するか?」の会議の案をよく読むと面白かったり、細かいネタに気付くと楽しい。

↓『ムンクの叫びラーメン』はこちら。

 

 

1.『貴婦人でごめユニコーン

元ネタは、『貴婦人と一角獣』(15世紀末)

f:id:ohtinpriyatno:20190113182409p:plain

なんだこの可愛さは。書類をミスし食器を割りまくる貴婦人に代わって心のこもっていなさそうな謝罪をするユニコーン。でもなぜか憎めない。
「ごめユニコーン ごめユニコーン 貴婦人でごめユニコーン」という口ずさみたくなるようなフレーズに加え、一応代わりに謝ってくれているユニコーンたちを前にしても「何が悪いの?」とでも言いたげな貴婦人の無表情もツボ。また、曲終盤の貴婦人の衣装チェンジにも注目。
こんなふざけた絵と歌なのにきちんと絵の内容も説明されているのが良い。

 

 

言うまでもないが、私の独断と偏見がバリバリに入った偏りのあるランキングなので、この10個以外にも良いものがたくさんあると思う。
私自身、一応これをベスト10としたが、順位をつけるのにもとても苦労したし、本当はこれも入れたかったなと思うものもいくつかある。
あのとき一挙放送してくれたEテレと、2年前に紹介してくれた友人に感謝。