ОГУРЕЦ

キュウリ美味しいね。

ありがとう亀山薫

 『相棒』シリーズ5代目相棒として亀山薫寺脇康文)が復帰するというニュースが今朝発表された。
 このニュースにファンはもちろん、それ以外の人も驚愕し、Twitterでは「相棒」「亀山」などというワードがトレンド入りを果たしている。私は通勤途中にLINEをチェックしていると、相棒公式アカウントから通知が入り、なんだろうなと何気なく開いたらこのニュースである。思わず満員電車の中で声を上げるところだった。
 以前冠城亘卒業が発表された際には、次期相棒がどうなるのか不安だということを書いたが、結果的に予想を大きく裏切られたわけだ。もちろん良い方向に。

 いや、予想を裏切られたというのもまた少し違う。前々から亀山くんが帰ってきてくれたら良いのになとは思っていたし、ここ数年では特命係に亀(本物、turtleの亀)がやってきて亀山くんの永遠の相方(?)伊丹が「特命係に亀……」と言ったり、初期シーズンの名物キャラで亀山くんとも仲の良かったゲイバーの店主・ヒロコママが久々に登場し、亀山くんの名前を出したりと、亀山くんの存在を匂わせる演出が続いており、私を含め相棒ファンは亀山くんの再登場を期待しつつも、まあそれは無理だろうなとある種夢物語・オタクの妄想だと思っていた。
 そんな中での満を持しての亀山くん相棒復帰!!本当に現実の話か!?と思ったのは私だけではないだろう。

 こんなに相棒オタクをやっておいてなんだが、(私の年齢的に仕方がない部分もあるとはいえ)私が相棒をリアルタイムで観始めたのは相棒が及川光博さん演じる神戸くんに変わった2009年season8からで、亀山くん時代は全て再放送で観ていた。つまり、リアルタイムで亀山くんを観るのは2022年10月が最初になるのだ。
 とはいえ、14年間再放送を何度も何度も観てきたのだから、その辺の相棒ファンには負けないと思っている(何が?)

 あの体力バカでお人よしで、変人で友達のいなかった右京さんに真正面からぶつかって、友好関係を築き上げ、そして去っていった亀山薫が帰ってくる。あの頃の亀山くんがそのまま戻ってくるのではなく(それはそれで良いと思うけれど)、14年間サルウィンで活動した亀山くんが右京さんと再会して何を話すんだろう……なんかまだ始まってもないのに想像しただけで泣きそうである。
 14年ぶりに帰国したら、捜査一課の三浦さんや米沢さんがいなくなり、花の里も閉店して、刑事部長が別人のようになっていているのを見て時代の流れに驚くシーンも見たいし、その後で、14年前に最後まで悪態をつきながら別れたもう一人の相棒・伊丹の全く変わらない姿を見て当時と同じようにケンカしてほしい。

 ちなみに相棒をあまり知らない人への補足だが、相棒では作中での時間の流れが現実での時間とほぼイコールになっているため、作中でもちゃんと「14年ぶりに帰ってきた」亀山くんとして登場してくれるのだ。改めて相棒という作品の凄さを感じられる。

 そして、この亀山くん復帰という衝撃発表を聞いて「終わりの始まり」を意識せざるを得ないとも感じている。
 『相棒』に限った話ではないが、「最初の相棒と時を経て再会する」なんて長編作品の最終回の典型例じゃないか。

 ところで相棒をあまり熱心に観ていたわけではない人の中には「初期の頃から比べて、右京さんのキャラ変わりすぎ」と言う人もいるが、それは当然である。『相棒』は「相棒」を通じた杉下右京という一人の人間の成長物語だ。亀山薫との出会いをきっかけに、神戸尊、甲斐享、冠城亘と関わっていくことで慇懃無礼で頭の固い杉下右京が変わっていく。
 特に「正義とは何か」「正しさとは何か」というのは『相棒』シリーズの一つの大きなテーマでもあったが、相棒や事件関係者に対する右京さんの言動を見ていると、彼の考えにも変化があったことがうかがえる。亀山くんとの再会は、右京さんがこの20年以上の時間の中で多くの出会いと別れを繰り返し、彼の「正義」について結論を出す時間なのかもしれない。

 

 歴代の相棒も総出演で右京さんのピンチを救うなどしてくれたら最高だ。いつかは必ず終わるのならば、美しい形で幕を閉じてほしいものである。

 以前も書いた通り、これが私の理想の『相棒』最終回だが、その第一歩が予想外にも叶ったのだ。喜ばしい反面、いざ終わりを意識するとやはり悲しい。人生の約半分を共に過ごしてきたのが『相棒』なのだから当然と言えば当然だが、まだ始まってもいないのにこんなにいろんな感情が溢れてしまう。
 何はともあれ、10月のseason22放送まで残り4か月ほど。万全の体制で視聴できるように整えておかねば。