センスは金では買えないが
2024年も早くも6分の1が終わろうとしている。2017年1月に開設したこのブログだが、10周年を迎える日もそう遠くはないと思うと恐ろしくなる。去年はとうとう1記事、それも何年も前に書き残していた文章の供養というなんともお粗末な投稿しかできなかったが、書きたいことはまだたくさんあるので、今年こそ何度か投稿できれば良いなと考えている。
さて、大阪梅田では北エリア(グランフロント大阪周辺)で大規模な開発工事が進んでいるのだが、私の職場からは この工事の様子を上から見ることができる。
私が就職した時点で既に工事は行われていたのだが、個人的に完成までの記録をしておきたいなと思い、数年間にわたり定期的に職場から撮影し、「工事進捗」という名目でデータを保存している。撮影と言っても、窓越しにスマホで撮るだけ、しかも気が向いたときだけなので大した資料にはならないのだが、時々見返すと着実に工事が進んでいることが分かってなんだか楽しい気分になる。
それと同時に、よくこんな長期間で計画通りに進められるなぁと、感心というかもはや畏怖の念が沸く。ここで言う「計画通り」とは工期の話ではなく、(恐らく)元々あった設計の通りマトモなものを完成させられるという意味である。世の中の数多ある都市、公共施設、住宅等々、途中で思った通りにいかずにぐちゃぐちゃになったりしないのが、当たり前と言えば当たり前だが、それでも凄いと思ってしまう。
私は常々、生活感のないおしゃれで綺麗な部屋に住みたいと考えている。同じように思っている人はたくさんいるだろうが、そのうちそれを実現できている人は少数派ではないだろうか。私も実現できていない派の一人で、物件選びや家具選びを間違えてしまったり、見映えよりも利便性を優先した結果、「なんだかごちゃついた部屋」になってしまっている。
とはいえ私は散らかった部屋にいると気が狂ってしまう人間なので、掃除・整理整頓に関しては世間の平均よりは意識が高い自負がある。「ごちゃついた」というのはあくまでも「モデルルームのような、家具や調度品にも統一感がありスッキリした部屋ではない」という意味であって、仮に 服が出しっぱなし、テーブルに使わない調味料が出ている、シンクに洗い物が溜まっている……といった“本当に”散らかっている部屋の住人に「分かる~散らかっちゃうよね!」なんて言われたら、一緒にするなと内心ブチギレるだろう。我ながら嫌な奴だ。
しかしいくら整理整頓が行き届いていても、モデルルームを理想とするとどうしても今の自宅に納得がいかず、「テーブルとソファはもっと淡い色にすれば良かった」「家電は白ではなく黒にしたら良かった」など毎日毎日モヤモヤしている。ちょっとした小物ならともかく、家具・家電となると気に食わないものでも簡単に処分したりもできない(物理的にも、精神的にも)。以前にも、「間違えて買ったものを視界に入れたくない」ということを書いたが、それでいくと家具・家電、ましてや家そのものなど、視界に入るどころではないため、当然ストレスがかかる。
そんなストレスを抱えるくらいなら高くても買い替えた方が良いと、最近は淡い色のテーブルとソファをネットで探しているが、結局実物を見ないと色合いは分からないし、実物を見たとしても持って帰ってみたらなんか思ってたのと違う……という可能性もある。そもそも、その時は良いと思っていてもやっぱり気に食わないということもある。実際、今のテーブルとソファも購入したときは気に入っていたのだ。私がテーブルなら理不尽だと文句も言いたくなるだろう。また、私は転勤ありの仕事をしているため、今の家に合わせて買った家具も、引っ越し後の部屋では合わないということもありうる。そんなことを考えていたらいつまで経っても何もできていないのが現状だ。
そんな私なので、どうぶつの森のように家具を一瞬で葉っぱに変えて持ち歩いたり タンスにしまっておければ良いのにと幼少期から本気で思っている。前回書いた「ドラえもんのスペアポケットを収納グッズとして欲しい」というのも同じことだ。それさえできれば、仮に買い替えた家具や家電が思った感じと違っても、とりあえず処分するまでの間は邪魔にならないところ・目に入らないところに置いておける。
そういう意味では、どうぶつの森は私のような 現実では理想の部屋を作り上げられない人間にとって、仮想空間で自分の思い描く理想の町や家を手軽に作れるとても良いゲームなのだ……などと言いつつ、考えてみると どうぶつの森でも私は理想の島づくりには失敗していた。
2020年3月に発売された『あつまれ どうぶつの森』、通称『あつ森』は、無人島に移住して、自分の家を作ったり、他の住民を誘致したり、木や花を植えるのは勿論のこと、土地を掘り返して川や池を作ったり、土を盛って崖を作れるなど、これまでのシリーズと比べても格段にできることが増えた。その自由度の高さと、コロナ禍の真っただ中という情勢もあり、同作品が大ヒットしたのがもう4年前というのだから信じられない。
私は世間より一足遅れた2021年春から始め、理想の島を作るのに躍起になっていた。私の理想の島とは「石畳の街を抜け、森に入ると立派な薔薇庭園、その奥には大きな洋館があり、そこに住む麗しの魔女(私)」。改めて文字に起こすと恥ずかしいが、私に限らずこういうテーマを理想として『あつ森』をプレイしていたユーザーは多いだろう。
そんなわけで、当時GW休暇中ということもあり毎日朝から晩まで島開発をしていたのだが、そう簡単には進まない。実際にプレイした人なら分かると思うが、あのゲームでは欲しい素材を作るにもある程度のミッションや、特定の条件をクリアする必要がある。そうなると、最初からある程度考えて開発を進めていたつもりなのに、条件をクリアしてやりたい施工ができるようになった頃には、もう既に予定と現状にズレが生じている。「最初にここに博物館を建てたせいで、このエリアが開発できない!一旦移動させるにも金と時間がかかる!いっそ一番最初からやり直したい!」などと、現実の家具と全く同じ状況に陥っていた。
ところで私の高校時代からの友人に 非常にオシャレでセンスのある女性がいるのだが、彼女の自宅はさながらモデルルームで、常に整理整頓されているのは当然、家具家電にも統一感があり、調味料などの生活感を感じさせるものは見える位置に出さないなど徹底されている。そんな彼女も当時『あつ森』をやっていたのだが、彼女の島は自宅同様美しく、自然と町との共生が見事に再現されていた。聞けば彼女は誘致する住人も徹底的に厳選し、自分の島の景観に合うような家を建て、見た目も可愛らしいキャラクターのみを集めていた。(「島の景観を損ねる」という理由で、たもつという名前からしてアホそうなゴリラの住人を必死で追い出そうとしていたのは、なんだかたもつを可哀想に感じつつも面白かった)
私もせめてゲームの中でくらいは彼女のような美しい島を作りたかったのだが、なんだか思った通りに進まず、結局島の開発計画は無期限中止状態に陥ってしまった。所詮ゲームだから良いが、これがもし現実の街の開発だったならとんでもないことだろう。そういう意味で、最初に書いた通り、梅田の開発が着々と進んでいる様子にある種の感動を覚えるのだ。
素人が個人的に片手間でやっている部屋の模様替えやゲームと、巨額の金と何百何千もの人が動き10年単位で計画された街開発を同列に語るなという話だが、梅田のような都会の大規模な開発でなくとも、例えば私が田舎の小さな村の権力者だったり、小さな企業のワンマン社長だったりしたら、「なんとなくオシャレだから」というような雑な思い付きで物事を進め、結局上手くいかず、ダサい景観の村や変なオフィスができていたかもしれない。というか、実際にそういう村や企業も少なからず存在しそうだ。
結局、元々のセンスがないと部屋作りはうまくいかないのだろうと、このオシャレな友人を見て思う。「センスは金で買えない」とはよく言ったもので、この友人だって特別お金に余裕があって良いものを手あたり次第に買ったりしているわけではない。生まれ持った・あるいは成長の過程で身に着けたセンスで、効率良く美しい部屋を作れているのだろう。私が今から友人の家や インスタなどで公開されているオシャレな家を参考にしたとしても、自分一人で部屋を作ると、「なんか違う」「中途半端で余計にダサい」という感じになる予感しかしない。
こうなればもう自分のセンスをどうこうするのではなく、次に引っ越すときには初めからインテリアコーディネーター的なプロに頼んで、指示された通りに家具を購入し、言われた通りに配置したい。自分のセンスは金で買えないが、センスのある人を買うことはできる。やはり金だ。