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キュウリ美味しいね。

変なゲームにハマる日々〜ありがとうイオンモール大牟田〜

 イオンモール大牟田——福岡県大牟田市に存在するイオンモールの店舗だが、私はこのイオンモール大牟田に かつて大変お世話になっていた。
 この名前に聞き馴染みがあるのは、周辺地域に住んでいて このイオンモールを利用したことがある人くらいだろう。一方私は、生まれてこの方ロシア留学を除けば関西にしか住んだことがなく、旅行ですら福岡県を訪れたのは数えるほどである。なんなら、大牟田というのが福岡県の地名だというのも、今になって知ったようなものである。そんな私が一体何があって「イオンモール大牟田」の世話になることがあるのか。

 2014年~2016年頃、私はとあるゲームアプリに熱中していた。そのゲームとは「口先番長VS」というものである。このゲームを簡単に説明すると、「一人でしりとりをしてどれだけ高得点を取れるかをオンラインで全国のユーザー相手と戦う」というものなのだが、これがなかなか奥深かった。

 ルールとしては、幾つかのひらがな(50音全てがあるわけではない)が画面に表示され、その表示されているひらがなを使って一人でひたすら しりとりをしていく。使える単語は2~10文字のもので、りんご、ごりら、らっぱ のような一般的な名詞は勿論、芸能人の名前やアニメキャラの名前、J-POP曲のタイトルなども使用できた。
 そして基本的には文字数が多いほど・使われているひらがなが多いほどポイントが高い。例えば、同じ6文字の単語でも「東京都(とうきょうと)」より「北海道(ほっかいどう)」の方が使われているひらがなが多いので高ポイントがつく。こういった具合で制限時間内にひたすら一人しりとりを行い、対戦相手よりも高得点をとれば勝利できるのだ。

 私はこのゲームで無課金勢にしてはそこそこランキング上位にいたのだが、コツとしては「時間を無駄にしないこと」「とりあえず何か単語を繋げること」が大事だったと思う。勿論、文字被りのない9文字や10文字の単語を連発できればそれに越したことはないのだが、50音すべてを自由に使えるわけではないので、そんなことは殆ど不可能である。また短い制限時間の中、長考している暇もない。因みに盤面は一回単語を打つたびにランダムでひらがなが入れ替わるが、「ん」、「ー(伸ばし棒)」、濁点・半濁点は常に使用できた。というわけで、適当に「りんご」→「ごーと」→「とんざ」などで繋ぎ、強そうな単語を作れそうな盤面が来たらそれを打つというのが一般的な戦い方だった。
 とはいえ、3文字程度の短い単語を連発するだけではポイントは低いため、中級レベル以上のプレイヤーが相手では勝てない。そこでコスパの良い単語=「ん」や「ー」も使いつつ、少ないかな数でどれだけ文字数の多い単語を打てるかが勝負の鍵を握っていた。

 そこで登場するのが、冒頭の「イオンモール大牟田」である。「イオンモール」で必要になるのは、常に使える「ん」「ー」を除けば「い」「お」「も」「る」の4文字で、これだけなら比較的盤面に登場しやすい。また一般的なしりとりのルールと同様、一回使った単語は打てないのだが、「イオンモール○○」と最後の地名を変えれば通るため、「イオンモール」シリーズは、私を含め愛用者の多い単語であった。中でも「イオンモール大牟田」は「む」「た」のプラス2かな あれば合計10文字稼げるため、ほぼ毎回の対戦で使っていた。同じプラス2かな の「イオンモール大垣」や、合計9文字になるが「イオンモール太田」もよく使用したが、個人的にはやはり「イオンモール大牟田」が入力のしやすさや語感も込みで一番好きだった。

 因みに、「イオンモール」シリーズ以外の有名良コスパワードとしては「上鳥羽南花名(かみとばみなみはなな)」、「信貴山縁起絵巻(しぎさんえんぎえまき)」、「雲仙普賢岳(うんぜんふげんだけ)」などがあった。
 また、私はあまり使用していなかったが「スーパー○○」系も対戦相手のワードでよく見かけた。私はこれでお笑いコンビ「スーパーマラドーナ」を知り、(ツッコミ担当のMおじこと武智さんは色々やらかしているので複雑な気持ちもありつつ)今なお応援している。スーマラの二人も、まさかこんなルートで入ったファンがいるとは思っていないだろう。
 こんな風に、このゲームをやっていなければ知ることのなかった・関わらなかったであろう物事がたくさんある。しりとり勝負が楽しいというのも勿論あるが、こうやって新たに自分の知識が増えていくこともまた、このゲームの楽しみであった。

 さて、これまでの文章全て「楽しみであった」などと過去形で書いてあることからもお分かりのように、この「口先番長VS」は既にサ終(サービス終了)している。
 一人プレイ用の「口先番長」*1から始め、リリースされてすぐに「口先番長VS」もやり始め、毎日ライフの回復を今か今かと待ちながら仕事のようにプレイし、より強い単語を探してはメモまでしていた。生活していて見聞きする単語の文字数を無意識にカウントする癖がつき、今でも恐らく世間の平均よりは単語の文字数カウントが早いと思う。全然何の役にも立たない特技である。
 サ終のお知らせを聞いたときは、本当に目の前が暗くなった。大学からの帰り道、辛すぎて普段40キロを守って運転していた原付をマックスまで飛ばしながら泣いた。無課金のくせに何をと思われるかもしれないが、今までの人生で一番ハマったゲームはポケモンでもダンガンロンパでもどうぶつの森でもなく「口先番長VS」だ。

 どうしても「口先番長VS」への未練が断ち切れず、同じようなゲームがないかとずっと探していたところ、1年ほど前、知人から「限界しりとり」というQuizKnock制作のゲームアプリを教えてもらった。
 こちらは相手としりとりで対戦し、初めに与えられた持ち時間が先に無くなった方が負けである(自分が考えている間はカウントが進み、相手が考えている間は止まる)が、このゲームの大きな特徴として、使えるひらがなに制限がない代わりに、コンピュータがランダムでと文字数を指定してくる。例えば、相手が「あいす」と打ってきた場合、こちらは「す」から始まる単語を打つが、コンピュータが「5文字」などと指定してくるので、「すなあらし」など5文字の単語を打たないと相手に返せない。
 「口先番長VS」で修行していたお陰で、今のところ知人とのフレンド対戦でも見知らぬ誰かとのオンライン対戦でも負けたことはないが、文字数の指定がかなり厳しく、このまま勝ち続けるにはまた「口先番長VS」にハマっていたときと同じかそれ以上の勉強(?)が必要だと感じている。
 しかし正直なところ、「限界しりとり」にはそこまでハマることはできていない。理由は色々あるが、やはり「口先番長VS」を求めてやっている気持ちが根底にあるため、これじゃないんだよな……となってしまうのかもしれない。
 去年の秋、旅行で九州に行った際 地図上に「大牟田」という地名を発見してから、また「口先番長VS」への気持ちが蘇ってしまった。どうにか復活してくれないかなと思いながら、今日も私はその辺の文字数をカウントしている。

 

*1:一人プレイ用の「口先番長」は現在もサービスが続いている

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