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キュウリ美味しいね。

びじゅチューン!お気に入りソングベスト10

2017年の元日にこのブログを初めて、もう2年も経つということに驚いている。
今年の正月は、ダメダメ学生の私は卒論の執筆に必死で正月を楽しむ余裕などまるでなかったのだが、そんな中で素敵な番組をひとつ見つけた。

元日の深夜、なんとなくテレビをつけっぱなしにしたままパソコンの画面と向き合っていると、何やら楽しげな番組が始まった。それが、『びじゅチューン!』のお正月一挙放送スペシャルだった。
びじゅチューン!』は世界の「びじゅつ」を難しい説明なしに、井上涼さんが手掛ける ヘタウマな歌とゆるいアニメで紹介する5分程度の番組で、普段は水曜の19:50から放送しているそうだ。

最初に「見つけた」と書いたが、ちょうど2年前の正月に友人がこの番組を紹介していたので 一応存在は知っていたのだが、放送時間が合わずに忘れてしまっていた。
それが今回、たまたまだがこの一挙放送を観たことで「こんなに面白かったんだ!」とハマってしまった。
びじゅチューン!』の歌やアニメーションは、親しみやすく分かりやすく、そして面白く、美術に興味がないような人でも楽しめるような工夫がたくさん。私は自分で言うのもなんだが、昔から美術にはそれなりに興味知識がある方だが、そうした人も井上涼さんのあっと驚くような発想や解釈、知識があるからこそ分かる細かいネタなど楽しめる部分が盛りだくさんだ。

そんなわけで、3日連続で一挙放送を観て、全部ではないかもしれないが 殆どの作品を観た中で特に気に入ったベスト10を紹介したいと思う。本当は動画を埋め込みたかったのだが、そうしたところで ここでは再生できないようなので、リンクを張りました。

 

 

10.『ザパーン ドプーンLOVE』

元ネタは、有名な葛飾北斎の『富岳三十六景 神奈川沖浪裏』



高く上がる波が富士山にラブコールを送っているなんていう可愛い発想が素敵。
びじゅチューン!の曲はメロディーがちょっと難しい感じのものが多いけど、この曲はシンプルかつ明るくて楽しい。
そしてびじゅチューン!では画面右下の歌詞表示も工夫があり、そこも注目ポイントなのだが、この曲は特に版画を大急ぎで刷って出す人が面白くて好き。
どうでもいいが、過去の記事で書いた、私が中学生の頃 塾でもらった名画ノートの絵柄のひとつがこの絵。

 

 

9.『武蔵の遅刻理由』

元ネタは、歌川国芳の『宮本武蔵の鯨退治』(1851年頃)



無理矢理な言い訳を紙芝居まで用意して熱弁する武蔵と、完全に嘘だと知りつつも一応最後まで聞く小次郎。二人の駆け引き(でもないか)が楽しい作品。
最後の二人のダンス(?)にも注目。こぶしのきいた「俺は武蔵!」もお気に入り。

 

 

8.『火消しが来りて笛を吹く』

元ネタは、ご存知 エドゥワール・マネの『笛を吹く少年』(1866年)


この絵は小さい頃に見て以来なんだか怖いイメージがあり、この曲のタイトルも『悪魔が来りて笛を吹く』を思わせるものなので、ホラー・ダーク寄りの曲かと思いきや、愛する我が町を守るため、少しの火でも過剰に警戒して警笛を吹く少年のお話でなんだか可愛いなと感じた。町の人々がマネの他の作品(画像順に、『フォリー・ベルジェールのバー』(1882年)、『バルコニー』(1868年)、『ラテュイユ親父の店にて』(1879年))の人々で、マネ商店街の店名もマネの作品タイトルから取ったものなのも気に入った。特に『フォリー・ベルジェールのバー』は好きな作品なので、登場してくれて嬉しい。

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7.『鳥獣戯画ジム』

元ネタは、『鳥獣人物戯画』(12世紀~13世紀)


この絵からよくもまあこんな発想が……でも確かに、あれだけ運動したら痩せそう。
私も巻物に入って動物になって運動して肉体美を手に入れたい!そんな気分にさせてくれるウキウキワクワクするような作品。

 

 

6.『アイネクライネ唐獅子ムジーク』

元ネタは、狩野永徳の『唐獅子図屏風』(16世紀後半)

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唐獅子図屏風とモーツァルトに何の関係が!?と思ったけど、唐獅子の髪型に注目したんですね。
私はクラシック音楽家の中でもモーツァルトは一二を争うくらい好きで(ちなみに同じくらい好きなのはチャイコフスキー)、特に『アイネクライネナハトムジーク』は高校の文化祭で演奏した曲なので少し思い入れがある。
その思い入れを抜きにしても、有名クラシックが可愛くアレンジされていて、聴いていて楽しい。唐獅子音符の楽譜の部分で、ソに♭がついていたのが、最後の3回目ではちょっとメロディが変わってソも♮になっていて、解散の危機を乗り越えて作品が完成して丸くおさまったことを表しているのかなーなんて。
モーツァルトが持っている歌詞カードの上でちょこちょこ永徳が指示を出しているのも可愛い。

 

 

5.『1500年のオーディション』

元ネタは、アルブレヒト・デューラーの『1500年の自画像』(1500年)

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自身をキリストに似せて描いたことで有名なこの自画像。確かに、他の画家のものと違って、こちらに何かを訴えかけるような意志のある自画像だ。私はキリストとジャック・スパロウを足して2で割ったような顔だなと思っていた。そういえば『聖☆おにいさん』のイエスも自称ジョニデ似だったね。関係ないけど『聖☆おにいさん』も大好きな漫画です。
話がズレたけど、この『1500年のオーディション』はサビのダンス(?)が好き。実は家で一人でマネした。

 

 

4.『お局のモナ・リザさん』

元ネタは、ご存知 レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』(1503-1519年)

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あの笑っているのになんか怖い感じを会社のお局さんに喩える発想がナイス。
でも、若手社員のネイルやスカートにだけ嫌味を言うのではなく、課長や社長など目上の人にもガツンと言ってて、後ろで若手女子社員がガッツポーズしてるのが良い。
謎に包まれた事実上の主、モナ・リザさん……カッコいい。

 

 

3.『何にでも牛乳を注ぐ女』

元ネタは、ご存知 ヨハネス・フェルメールの『牛乳を注ぐ女』(1657-1658年)


ネットで話題になっていたので、知っている人も多いかもしれない。何故か歌ってしまう奇妙なメロディーに、牛乳を注ぐ女VSベテラン調理師の戦いが見物。でも実際何にでも牛乳をかけたら不味いらしい。でしょうね笑
公式動画にはないが、コーラス入りver.の出だしの「ヨ~ハ~ネ~ス!フェルメール!」というコーラスが私はお気に入り。

 

 

2.『その天女、柄マニアにつき』

元ネタは、『吉祥天像』

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言われるまで気付かなかったけど、ホンマや、めっちゃ柄やん!
これは音楽だけなら1位にしていたってくらい、メロディーが好き。気分が上がる。
掲示板にムンクの叫びラーメンのチラシが貼ってあったり、「吉祥天女をどう制するか?」の会議の案をよく読むと面白かったり、細かいネタに気付くと楽しい。

↓『ムンクの叫びラーメン』はこちら。

 

 

1.『貴婦人でごめユニコーン

元ネタは、『貴婦人と一角獣』(15世紀末)

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なんだこの可愛さは。書類をミスし食器を割りまくる貴婦人に代わって心のこもっていなさそうな謝罪をするユニコーン。でもなぜか憎めない。
「ごめユニコーン ごめユニコーン 貴婦人でごめユニコーン」という口ずさみたくなるようなフレーズに加え、一応代わりに謝ってくれているユニコーンたちを前にしても「何が悪いの?」とでも言いたげな貴婦人の無表情もツボ。また、曲終盤の貴婦人の衣装チェンジにも注目。
こんなふざけた絵と歌なのにきちんと絵の内容も説明されているのが良い。

 

 

言うまでもないが、私の独断と偏見がバリバリに入った偏りのあるランキングなので、この10個以外にも良いものがたくさんあると思う。
私自身、一応これをベスト10としたが、順位をつけるのにもとても苦労したし、本当はこれも入れたかったなと思うものもいくつかある。
あのとき一挙放送してくれたEテレと、2年前に紹介してくれた友人に感謝。