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キュウリ美味しいね。

秋?冬?の夜長に 無料公開漫画のススメ

ここ数年の私の趣味は無料公開漫画を読むことである。元々漫画はどちらかと言えば好きな方ではあったが、漫画雑誌を読まないので、新しい作品への入口は ドラマやアニメに興味を持ちその原作漫画も読むか 他人の勧めがほとんどだった。ちなみに書店で表紙やあらすじを見て買うというのは、小説を買う場合にはほぼ毎回やるのに、漫画の場合は何故かよほどこれはアタリだと思えない限りできない。
そんな私にとって、お試しでいくらか読ませてもらえる漫画サイトの存在は非常にありがたい。普通に書店で売られていたら、何の興味も持たずスルーしていたであろう作品にいくつも触れることができ、今まで全く読まなかったジャンルでも意外と面白いと知ることができた。
とはいえ私は結構なケチなので、いくら面白いと思っても課金をして続きを読んだことはない。と言うのも、こうした漫画サイトでは数は少ないものの全巻無料で公開している作品もいくつかあるので、それを読むだけでも十分楽しめるのだ。漫画サイトにとっては迷惑な客である。
漫画サイトにも色々あるが、私はスキマを贔屓にしている。正直あまり知名度はなさそう(失礼)だが、私の印象ではここが一番無料公開作品が多い。
前置きが随分長くなったが、今回はそんな卑しい私が読んで気に入った全巻無料公開漫画をいくつか紹介していこうと思う。なお順番に特に意味はない。
※私が読んだ当時 無料公開されていただけで、無料期間が終了していたらすみません。


『おいらん姐さん』鈴木あつむ
吉原の遊女見習い・禿(かむろ)のなみじを語り手に、「地獄太夫」の異名を持つドS花魁・橋立と吉原の日常を描いた大江戸人情ロマン漫画。
舞台が遊郭なので当然性的描写もあるにはあるけれど、そういった部分よりも遊郭のシステムや当時の人々の生活などの説明が多く、ストーリーも基本的に1~2話完結の人情コメディなので性的描写が苦手な私でもサクッと楽しく読めた。説明も分かりやすくなかなか勉強になる。個人的に料理上手な遊女とデブ専侍の話が好き。欲を言うなら、終わりが唐突だったのでもうちょっと続きが読みたい。
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『女医レイカ嶺岸信明剣名舞
誰もが心に闇を抱える現代社会。氷の女と呼ばれる精神科医・氷室レイカがそんな現代人が引き起こす事件を精神科医としての立場から解決していくサスペンス。
絵柄もストーリーも暗い雰囲気で、はじめは取っつきにくいかもしれないが、どんどん引き込まれていく。
作中で登場する症状はド素人の私でも知っているようなものも多く、さほど専門的な話も出てこないので、こういった分野にあまり興味のない人でもサクサク読めると思う。
また主人公レイカ先生のブレないところも魅力のひとつ。主人公に変にラブロマンスを取り入れないところが個人的には好み。
現代に生きる心の闇を抱えた人間の一人として、患者に共感したり一歩間違えればこうなるかも……と思ったり、色々考えさせられる作品。
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美容外科医 山田美人』さかたのり子
容姿に様々なコンプレックスを持つ人達が整形外科医・山田美人(やまだよしひと)の施術によって理想の姿に大変身するが……?
顔を変えることで自信を持てる、一方で容姿が全てではないというメッセージのある「いい話」が基本。整形漫画にありがちな(?)、ドロドロ復讐ものや整形依存のバッドエンドものではないので安心して読める。
「いくら整形でもここまで上手いこと変わるわけないだろ笑」というツッコミ所はあるけれど、そこは漫画なのであしからず。
個人的に好きなのは、歳をとってから二重にしたおばあちゃんの話と 不細工で女性に縁のなかった男性がイケメンになり途端にモテる話。
自分がするしないは別として、美容整形にとにかく否定的なイメージを持っている人こそぜひ読んでみてほしい作品。
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『爺さんと僕の事件帖』しかくの
施設育ちの11歳中寺逸実は祖父の逸樹と二人暮らし。無口で不愛想だが頭の切れる祖父と個性的なクラスメートたちと一緒に近所や学校で起こった事件を解決していく日常系ミステリ漫画。
口コミには「コナンのような子供向けの漫画」とあったが、私の印象では見た目も頭脳も子供な逸実たちがあたるにしては暗く重い話が多く、意外と小難しいのでじっくり真剣に読む作品。事件のトリック自体はさほど奇抜なものではないものの、逸実と祖父の微妙な関係やキャラクターの心情に注目すると心が痛んだり考えさせられるものも。
古い女性向け作品のような描写やがちらほらあるので、そこは好みが分かれると思うけれど、本筋とは関係ないのでそこが気にならなければ問題ない。
ちなみに私は学校のウサギが殺される話が色んな意味で面白くて気に入っている。
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『花板虹子』笠太郎
料亭・藤野家の板長として突如現れたのは冴えない女 虹子。しかしその正体は超絶技巧のカリスマ板前!女が板長なんてと嘲る人たちを前に虹子の超人的料理技術が炸裂。グルメと人情で二度美味しい物語。
かなり長いが、一気に読んでしまった。話はライバル・悪役が虹子との料理勝負を通じて改心し味方になる……というような王道展開ばかりだが、料理や食材の描写が良く、もっと美味しそうな料理を見てみたいと感じて読み進めてしまう。
普段ちゃんと料理なんてしないけれど、読了後はちょっと和食を作ってみたくなる。
ちなみに同じ作者の『板前鬼政』も無料公開されているので読んでいる途中だ。
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喰いタン寺沢大介
ありえない食欲を持つ歴史小説家・高野聖也と助手の出水京子が、料理が絡んだ事件の謎を解くオムニバス漫画。
過去に東山紀之主演で実写ドラマ化されたので、それで知っている人も多いかもしれない。だが原作漫画とドラマでは設定や雰囲気がかなり異なるので、ドラマを観ていた人も新鮮な気持ちで楽しめると思う。
事件の内容は殺人事件から町内の子供のイタズラまで様々で、毎回登場する料理・食材も高級フレンチからカップ麺まで多岐にわたる。トリックには食材の特性が使われるため、その解説を読むごとにひとつ賢くなった気がするのも良い(何に使えるのかと言われれば答えに困るけれど)。作者の寺沢氏は物凄い知識の持ち主だなあと勝手に感心している。
同じ料理漫画でも『花板虹子』で登場するのが高級料亭の懐石料理であるのに対し、この『喰いタン』では家庭料理など手軽なものが多いのでより食べたいという気持ちが高まる。主人公高野の食べっぷりも合わせてまさに「飯テロ」作品。夜中に読むのはやめた方が良い。
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色々読んだつもりだったけれど、こうして書き出してみると意外と少ない。まだまだ私の知らない素敵な作品がたくさんあるので、ぜひ時間のあるときに読んでみてほしい。